RPA入門本「図解でわかる RPA いちばん最初に読む本」を読んだ感想と内容まとめ

RPA入門本「図解でわかる RPA いちばん最初に読む本」を読んだ感想と内容まとめ

今回の記事では、RPAの入門本「図解でわかる RPAいちばん最初に読む本」についてご紹介します。本の概要・内容のポイントや、実際に読んでみた感想を詳しく書いていきたいと思います。

【はじめに】IT・経済系メディアで話題の「RPA」とは

ここ最近、「RPAで業務効率化、工数削減」というニュースをITや経済系のメディアでよく目にするようになりました。

RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、一般的には「人が行っているPC作業を自動化するソフトウェア」のことを指します。

PCで行う様々な作業、例えば、フォームへの入力やブラウザの操作、集計などの作業、メールの作成などをRPAツールを使うことで自動化できるというわけです。

今回の記事では、そんなRPAについての入門本である「図解でわかるRPA いちばん最初に読む本」の概要や実際に読んだ感想を書いていきたいと思います。

書評|図解でわかるRPA いちばん最初に読む本

Amazon.co.jp: 図解でわかるRPA いちばん最初に読む本 : 神谷 俊彦 編著, 堀川 一, 湯山 恭史, 木佐谷 康: Japanese Books

書籍情報

著者: 神谷 俊彦 (編著), 堀川 一 (著), 湯山 恭史 (著), 木佐谷 康 (著)
出版社 ‏ : ‎ アニモ出版 (2018/9/26)
発売日 ‏ : ‎ 2018/9/26
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 184ページ
SBN-10 ‏ : ‎ 4897952174
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4897952178

内容

RPAとは、これまで人間だけが対応可能と思われていた事務的な業務、もしくはもっと高度な事務作業を人間に代わって実施できる業務代行ツールです。ソフトウェア型のロボットが中心のシステムなので、「デジタルレイバー」(仮想知的労働者)とも呼ばれます。でも、それはいったい何者で、なぜそんなことができるのか、自分たちにも利用できるのか、などなどたくさんの素朴な疑問を抱くことでしょう。本書は、こんな素朴な疑問にズバリ答え、しくみや活用法が簡単に理解できるように図解入りでやさしく解説。インターネットや雑誌・新聞では入手できない情報も満載です!

目次

1章 RPAっていったい何だろう?(RPAの現状;RPAを取り巻く環境 ほか)
2章 RPAを支える技術とツール(RPAの構成と動かし方;RPAを支える技術 ほか)
3章 RPAを導入するときの上手なすすめ方(導入のための企画づくり;導入計画の作成 ほか)
4章 RPAの導入事例を見てみよう(事例の見方;業務・目的別の導入事例)
5章 RPAの将来はどうなっていくか(RPAとその周辺技術;RPAの海外事情 ほか)

この本はこんな方におすすめ!

  • RPAについてほとんど知識がない入門者の方
  • RPAの導入に興味がある方

著者はどんな人?

著者は中小企業診断士を中心とした経営コンサルタントグループのメンバー4名です。 現役の経営コンサルタントで企業経営への理解が深く、研修講師としての活動もされています。

この本の内容と感想

レイアウトが見やすい、使いやすい

まず最初に感じたのは、本のレイアウトがとても使いやすいということです。
基本的に見開きの2ページ毎に一つのトピックスがまとめられているため、慣れない内容の本を読んだときの「ページをめくったり戻ったりしてやっと理解する」作業が必要ないので入門者にはありがたいです。図やイラストも多く文字情報を補完してくれています。レイアウトに関しては参考書のような雰囲気がありとても工夫されていると感じました。

内容は広範囲を「広く浅く」カバー

内容は、以下の5章に分かれており、1章の「そもそもRPAってなに?」というところから始まり、主要なRPAツールの紹介、RPAの導入の流れや実例、国内外のRPA事情から将来のRPAについて、かなり広い範囲についてカバーされています。

1章 RPAっていったい何だろう?
2章 RPAを支える技術とツール
3章 RPAを導入するときの上手なすすめ方
4章 RPAの導入事例を見てみよう
5章 RPAの将来はどうなっていくか

内容の範囲は広いもののあくまでも基本的な内容のみを取り扱っているので、RPAを使ったことがない人にも十分理解できます。「広く浅く」RPAについての情報を得ることができ、RPAの全体像をざっくりと掴みやすい構成になっています。

1章のハイライト

1章ではまずRPAの概要や歴史について一般的な解説がされたのち、RPAを使った企業戦略のあり方について少し踏み込んで考えさせられる内容になっています。

例えばP.39「コスト削減効果の本質」には以下のように書かれています。

「RPAの導入が生産性向上を果たすためには、業務プロセスを見直したり、業務の見える化や標準化を行い、提携業務を明確化したり、組織体制の見直しや従業員を教育訓練することが必要になります。そのことが生産性向上につながるのです。
業務プロセスの見直しや標準化を行なうことにより、定型業務を明確にし、その業務をRPAに担わせます。
そして、提携業務に時間を割いていた従業員は、付加価値の高い業務に専念させることによって、アウトプットが上昇してこそ生産性向上につながるのです。
生産性向上の好機につながるものとしてRPAをとらえて、このような組織基盤を整備することが、コスト削減効果の本質です。」

(P.39「コスト削減効果の本質」より引用)

著者はここで、RPA導入=生産性向上ではなく、生産性向上を目指した大きな取り組みの一部にRPAがあるのだとの考えを示しています。

このように1章ではRPAの基本知識に加えて、所々に示されるRPAの効果やリスクの本質についての考えや視点があり参考になりました。

2章のハイライト

2章は、RPAの技術・機能の基本知識についての解説が中心です。1章に比べると実務寄りの内容でRPAの使用手順や起こりうるトラブルや対応策などについても書かれています。

2章の終盤では、代表的なRPAツールやその他の新興ツールなど個別製品についての紹介がされていますが、こちらについては2018年出版当時の情報のため、一部アップデートが必要と思われる部分もありました。

3章のハイライト

3章では導入の計画や進め方について解説されています。
基本的な内容ではありますが、導入企画書の作成例や盛り込むべき内容のポイントがまとめられていたりと具体的・実践的。導入担当者の目線に立って必要な事柄が書かれており、導入業務の大まかなイメージがわくような内容になっています。

4章のハイライト

4章の内容は、企業でのRPA導入の実例が中心です。4社分が紹介されていました。
実際にどんな業務にRPAを導入したか、良かった点や苦労した点について書かれているため、RPAでどんなことができるのか、何ができないのかということがイメージしやすいです。

5章のハイライト

5章では、IoTやAIなどのRPAの周辺技術、RPAの海外事情、RPAの未来について書かれており、4章までの補足的・発展的内容になっています。
5章は主に出版時点(2018年)のRPA事情が書かれているため、2021年現在では既に状況が変わっていたり、未来予測として書かれた内容が既に実現していたりする部分もありました。

全体の感想

2018年出版のため、上に書いた一部の箇所について2021年現在では事情が変わった部分もありますが、全体としては基本的・普遍的な内容であり入門者におすすめできる本です。

実際の導入時には更に専門的な内容の書籍が必要になりますが、この本のタイトルのとおり「いちばん最初に読む本」として適切な難易度と内容でした。

おわりに

RPAの入門本「図解でわかる RPA いちばん最初に読む本」の書評・感想をお伝えしました。

RPA関連の書籍はたくさんあるのですが、探してみると意外と入門者向けの難易度で幅広い知識を得られる本は少ないように感じました。

みなさまの書籍選びの参考になれば幸いです。

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