RPA導入は安易に行うとコストが今までの3倍に膨れ上がってしまう恐れも。その理由を徹底解説します。

RPA導入は安易に行うとコストが今までの3倍に膨れ上がってしまう恐れも。その理由を徹底解説します。

導入してもうまくいかない。RPA導入に関する現状

総務省が発表した『働き方改革』の中でRPA(業務自動化による生産性向上)について触れられており、多くの企業がこれに着目し、RPAの導入を進めております。
2018年で既に大企業の8割が導入を進めているとの情報もあり、今トレンドの技術になっているわけです。
RPAサービスの提供事業者も続々と出現している中、RPAを業務の中で実稼働まで進めることができている企業は約半数。さらに、実際にコスト削減に繋がっている企業はさらに少ないと言われています。
『導入した企業の多くはRPAをあまり活かす事ができず、悩んでいる』という事になります。
なぜこのような自体が発生しているのが、詳しく説明していきます。

そもそもRPAとは?AIとの違いは?

RPAのAIの違いについては様々なところで解説がされていますが、一言で言うなら、”「コンピュータが人間の代わりに判断ができるかどうか」”が違いになってくると思います。RPAは人間の動作を記憶させる事で、コンピュータが設定した手順通りに作業を行う事ができます。これに対して、AIはコンピュータ自身が学習を行い、コンピュータ自身が判断して作業を行います。

RPAの特徴

RPAは日々の単純な繰り返し作業をコンピュータに任せる事ができます。人間の複雑な判断を必要としない作業をコンピュータに頼る事で、少子化対策や人件費削減など、今の日本が抱える人不足問題の解決策として現在注目されている分野です。
プログラミングなどの専門知識がなくでも構築可能という特徴があり、幅広い分野で導入が進んでおります。しかし、現状では”専門知識がなくても”という部分に若干の不安があります。こちらについては[既存RPA製品の問題と課題について]で後述しております。

AIの特徴

AIはRPAと異なり、コンピュータ自身が判断し作業を行う事ができます。より複雑な判断を求められる作業をこなすことができますが、判断が人間ではない点に不安が残ります。
しかし、現在のAIの多くはコンピュータに脳があるというイメージではなく。マシーンラーニングによる物がほとんどです。マシーンラーニングとは、より多くの作業データをコンピュータに取り込む事で、コンピュータが傾向を分析し作業を行うという物です。コンピュータ将棋などをイメージすると近いと思います。
言い換えると、現在多く用いられているAIの技術では、AIが”取り込んだデータ”以上の思考に至ることはなく、某映画のようにコンピュータに支配されてしまう恐れはないという事になります。ちょっとがっかりですね…笑。

現在市場に出回っているRPA製品の特徴

RPAの製品には様々な種類があるのですが、大きく以下の3つに分類されます。
・デスクトップアプリケーション型(デスクトップ実行型)
・デスクトップアプリケーション型(サーバ実行型)
・クラウド型
それぞれの特徴について説明します。

デスクトップアプリケーション型(デスクトップ実行型)

このモデルの製品はRPAの開発をデスクトップアプリケーションで行い、そのままデスクトップで作業を実行させるという型です。会社でいつも使用しているPCで開発、実行ができるため、作業のイメージが付きやすく開発がしやすいというメリットがあります。
しかし、RPAが動作している間はそのPCが使用できなくなってしまうというデメリットがあり、多くの企業がRPA専用のPCを用意し、RPAの実行を行っています。


デスクトップアプリケーション型(デスクトップ実行型)

デスクトップアプリケーション型(サーバ実行型)

こちらのモデルはデスクトップアプリケーション型(デスクトップ実行型)と同様で、RPAの開発をデスクトップアプリケーションで行う事ができます。慣れた環境で開発ができます。さらにデスクトップアプリケーション型(デスクトップ実行型)のデメリットをなくすため、RPAの実行をサーバに任せるように改善したモデルになります。
RPAを実行するサーバはクラウドとオンプレミス(社内にサーバを用意する)の2通りあるのですが、どちらも非常にコストがかかります。年間1000万を必要とする仕組みも少なくなく(2019年2月時点)、導入に大きな抵抗が出てきます(本当にその分コストの削減ができるのかと…)。


デスクトップアプリケーション型
(サーバ実行型)

クラウド型

現在あまり市場に出ていないクラウド型。開発も実行もクラウドで行ってしまおうという現在流行りの手法です。メリットしては、アプリケーションのインストールや実行環境の容易が不要なため、”まず使ってみて、導入できるか検討してみる”という事ができます。RPAという物がいったいどのような物なのか。”RPAの開発”と言っているが自分たちで本当にできるのか?などを検討できます。コストも安価な物が多く、RPA導入に悩んでいる中小企業の方に試して頂きたい製品となっています。
デメリットとしては、クラウド型=ブラウザ型であり、基本的にWebアプリケーションの自動操作しか行なえません(”自分のデスクトップ上のエクセルファイルを開く”などは不可能)。
ただし、現在多くの企業が社内ツールのクラウド化を進めており、数年後にはRPA製品の主流になってくるのではないかと予想されているモデルです。


クラウド型

現在導入が進んでいるRPA製品の多くは”デスクトップアプリケーション型(デスクトップ実行型)”もしくは、”デスクトップアプリケーション型(サーバ実行型)”のどちらかです。しかしクラウド型も続々とサービスを開始してきていますので、今後増えていくと予想されています。

既存RPA製品の問題と課題について

ここでは、既存のRPA製品の問題点について触れさせて頂きます。RPAの導入に迷っている方は一読下さい。

問題1.「RPAの開発」にかかる時間的コストが非常に多い。

RPAを導入している会社様にお話を聞いている中で一番多いのが”こんな想定ではなかった”です。
詳しくお伺いすると、「RPAで人の作業時間は減っているのですが、RPAの「開発」にかかる時間が非常に大きく、日々のコスト削減の意味がなくなってしまっている」との事でした。
これが冒頭に述べた”専門知識がなくても”に繋がるのですが、RPAの開発の際には”プログラミング”は不要です。しかし、ループ(繰り返し)処理や分岐処理(もし…なら…)などのロジカルシンキングが必要になります。ロジカルシンキングのような考え方はプログラム経験者が得意な考え方であり、一般的な会社員の方にとっては難しい考え方なのです。
ましてや、日々実際に作業を行っている方は「自分の作業のここはループで」「ここは分岐で」などと考えて業務を行っているわけではありませんので、非常に抵抗が出てしまうのです。

問題2.環境によってやりたい事ができない

次に多いのが、”導入してみたは良いが結局やりたい事ができずに放置している”という内容です。
デスクトップ型のアプリケーションは原則、1台のPCで2つ以上の処理を同時に実行する事ができません。
例えば、「仕入の作業と、在庫整理の処理をしたい」とする場合、この2つを同時に実行させることはできません。
”仕入は10時から実行”、”在庫整理は16時から実行”などと分けておく必要があるという事ですね。
 
同じ時間帯に複数の社員の方に異なる作業を依頼している場合、RPAによる自動化は大変かもしれません。
 
また、RPAの処理が実行PC(サーバ)のスペックにより不安定になることもあり、
「気づいたら止まっていた。」「結局人でやった」「安心してRPAに任せられない」という声もよく伺いました。

問題3.費用がかかりすぎて継続できない

RPAを導入してみたは良いものの、年間のコストが高すぎて断念した。という声も多いです。
会社としてかけた費用分のコスト削減が実現できなければ、残しておく意味はありませんからね。
 
問題1の内容にも繋がるのですが、結局の所、自社の人材だけではRPAの開発が行えず、
・初期の立ち上げ時にRPAサービスを提供している会社のサポートに頼ってしまう。
・業務に変更が発生した際もサポートに頼ってしまう。
このあたりのコストが大きくなっている傾向も見られました。

今後理想とされるRPA製品の方向性とは

まずは本当の意味で、”専門知識がなくても”を追求して行くことではないでしょうか。
ロジカルシンキングは複雑です。しかし、RPAを開発する上では必要です。いかに意識させずにRPAの開発を可能にするか。
UI設計のレベルから改善が必要ではないでしょうか。この部分が解決できれば、必然的に保守・サポートに関するコストは削減が可能になります。
中小企業でも導入を進める事ができる製品になっていくのではないかと考えています。

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